応募資格は55歳以上、豪・広告代理店で始まった有償インターン
オーストラリアで複数の拠点を持つ人気の広告エージェンシーThinkerbellが、新たにインターンシップのプログラムを立ち上げた。応募の条件は、「55歳以上であること」だ。
「Thrive@55」と呼ばれるこのプログラムは、Thinkerbellでの8週間の有償インターンシップを提供するものだ。一風変わった取り組みの背景には、エイジズムを是正したいという想いがある。エイジズムとは、年齢に関する偏見や差別を指し、たとえば「~するには年を取りすぎている」と決めつけたり、シワを醜いものと捉えたりするような、主に年を取ることに対するネガティブな感情を伴う。
(IDEAS FOR GOOD 11月21日)
業界によって活躍する年齢層に差があるのは事実だ。スポーツのように、体力などの客観的なデータで年齢による適性の変化を把握できる分野もあれば、今までの慣習でそう思い込んでいるだけの分野もある。
その中で、広告業界は若い世代が第一戦の現場で活躍している業界だ。常に新しい感性が求められるし、体力的にも厳しいものがある。筆者も会社員時代、電通や博報堂、読売広告などに広告を依頼したが、営業の幹部以外は皆、若かった。特に、クリエイティブ部門は、20代、30代が中心だ。
しかし、少子高齢化が進み、消費の中心世代の年齢も上がっている。高齢者向け商品の宣伝には、年配のクリエイターの感性が生きることもあるに違いない。画家にも作曲家にも小説家にも、年を重ねてますます創作意欲が高くなる人はいる。シニアのクリエイターに、シニアならではの広告を期待するのも良い時代になった。