「会社員は苦行」好きな仕事自ら起こすシニア世代

一身にして二生を経る──。実測による日本地図を作った伊能忠敬が測量の旅に出たのは50歳を過ぎてからだった。現代の日本においても、10代の時から起業をめざした日本電産の創業者・永守重信氏のような人がいる一方で、定年後に事業を起こし新たな人生を踏み出す人がいる。「シニア起業」は人生100年時代を生き抜く新たな選択肢になるか。
(日本経済新聞 11月10日)

今まで働いてきた会社で70歳まで働けるようになるなら、そのまま働き続けようと思う人は少なくない。しかし、その一方で、70歳まで働くなら、60歳からまだ10年あると、第2の人生に踏み出す人もいる。新たな生き方を始めるなら、今までの会社員とは別の働き方を模索するのもよい。起業は、その選択肢のひとつだ。

もっとも、思いつきとやる気だけでは、起業は成功しない。高齢になってからの起業は、やり直す時間も限られているだけに、リスク・コントロールも重要だ。大きな経済的リターンを目指すより、自分の強みを活かしながら、小さな社会貢献を積み重ねることから始めるのも良いだろう。急成長しなくても、長く続く事業を作ることができれば、それは社会に貢献する新たな仕組みの礎を築いたことになる。第2の人生のゴールとしては、それも良い。