厚労省も再就労を後押し
国も働く意欲のあるシニアが経験を生かして働ける場づくりを後押しし、厚生労働省は「生涯現役促進地域連携事業」を展開する。実施団体として委託費を受ける自治体の協議会は全国で現在66。柏市や豊中市も選ばれている。同省高齢者雇用対策課の恒石拓哉係長によると、この事業を活用して2019年度に就労まで結びついたシニアは全国で6600人。介護関係業界が目立つという。
(日本経済新聞 10月8日)
厚生労働省の生涯現役促進地域連携事業は、地方自治体が中心となって構成される協議会等からの提案に基づき、地域における高齢者の就労促進に資する事業を幅広く実施してきた。令和2年からは、これまでの事業を連携推進コースとして、新たに地域協働コースも始めている。地域協働コースは、協議会の仕組みを活用し、連携推進コースにより構築した地域ネットワークによる効果的な取組と自治体が自主的に行う取組との双方が協働して事業を行うことを支援するのが目的だ。
支援の内容は、高齢者への情報提供や関係事業紹介、企業への啓発セミナーなど、元々、厚労省の労働局やハローワークが担ってきた業務と重複する部分も多い。しかし、この事業には、地域の自治体や企業を組織した協議会を機能させるという目的もある。高齢者のニーズと地域のニーズをうまくマッチングさせるには、厚労省の出先機関だけでなく、地域社会全体が協力することが重要だ。
新型コロナウイルスの影響で、観光、外食などを中心に地方経済に下押し圧力がかかる中、地域ニーズの変化に迅速、的確に対応して、より良いマッチングを実現するためにも、こうした地域ごとの協議会が有効に機能することが求められる。