クルマエビ養殖に製造の技、作業負担軽減し高齢者雇用へ
金属精密加工・セキュリティー機器製造の東海理研(関市武芸川町谷口)が、同市の旧板取中学校給食センターの設備を活用してクルマエビの養殖に乗り出した。同社独自の製造やモノのインターネット(IoT)の技術を生かして作業負担を軽減し、地元の高齢者の雇用確保を目指す。
(中日新聞 8月25日)
新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な需要減退が続く中、自動車や機械などの製造業は、厳しい経営環境に直面している。しかし、既存事業の成長が見込めなくなったときは、新規事業へ乗り出す機会でもある。
金属精密加工とエビの養殖は一見、無関係に見えるが、作業の自動化、効率化に必要な要素技術は、工場でも給食センターでも養殖場でも共通な要素が多い。今までクルマエビの養殖が重労働だったのは、養殖業者は養殖場の労力軽減につながる技術の存在を知らず、技術をもっているメーカーも自社の技術を養殖に活かせることに気づいていなかったからだ。今回、この両者が出会ってコラボレーションすることで、新たな価値が生まれ、生産性が向上し、高齢者の雇用機会も拡大した。
特に、水温計などセンサーを利用して、IoTが人間よりも精密に養殖池の状況を把握し、24時間のリアルタイム制御で人間以上のパフォーマンスを実現したことは評価できる。高齢者でも働ける職場環境を構築するだけでなく、より優れた養殖プロセスも確立した。
このケースに限らず、製造業は、コロナウイルスの感染が終息するのを待つのではなく、自社の強みを活かす新たな市場を積極的に開拓すべきだ。