JR西日本に迫る「大量退職」、対策急務
JR西日本が現場社員の「大量退職」に備え、自動運転の試験や最終電車の繰り上げなどを進めている。同社では運転士や駅員、車両や線路の整備員といった現場を支える社員の約2割が今後5年で定年の60歳を迎える。国鉄からJRへの移行時に採用を絞ったため、彼らに続く層は薄い。新型コロナウイルスで鉄道の利用法も変わりつつあり、改革は急務だ。
(日本経済新聞 8月21日)
新型コロナウイルスの感染拡大により、人の移動が激減し、鉄道各社は需要の急激な減少に苦しんでいる。一方で、鉄道の運営を持続するために必要な業務はそれほど減っていない。そのため、収益が悪化する中でも、生産性の向上と人材確保に努力を傾注している。特に、JR各社は国鉄からの移行時に人員削減を行ったために50歳前後の従業員が少ない。定年延長などの施策を打たないと人員の自然減はしばらく続く。
しかし、保守要員のように、体力を必要とする業務では、定年を延長して人員を確保するだけでは、労働力を維持できない。高齢の作業員でも高い作業効率を得られるような作業環境の構築が重要だ。運転手は自動運転にすれば無くすことができるが、線路の保守はレール交換機を導入しても人手をゼロにすることはできない。人手に頼らざるを得ない作業を高齢の作業員でも如何に効率的にこなせるかが問題になる。機械化は、自動化だけでなく、高齢作業員の有効活用にも向かって進めるべきだ。