「生涯活躍のまち」モデル事業、「温泉のある交流拠点」

人口減少と少子高齢化が進む安芸太田町に、高齢者や障害者の雇用を生み地域の拠点としても期待される温泉施設が完成しました。この施設は、JOCA、青年海外協力協会と安芸太田町が国の「生涯活躍のまち」モデル事業として整備したものです。温泉や食事の提供、土産物の販売などで運営を維持しますが、福祉作業所としての機能も併せ持っていて、地元の高齢者や障害者の働く場にもなっています。古い旅館を改装した施設には食堂や談話スペース、天然温泉も備えられています。(テレビ新広島8月2日)

「生涯活躍のまち」事業は、地方創生の観点から、制度の縦割りを超え、年齢や障害の有無等を問わず、移住者や関係人口、地元住民等を対象とした「誰もが居場所と役割を持つコミュニティづくり」を目指している。

「地方創生の観点から」と前提条件が付けられているのは、多分に政治的な思惑によるものであって、本来、東京など首都圏であっても「誰もが居場所と役割を持つコミュニティづくり」は重要だ。その点、広島県の安芸太田町の取り組みは、東京などの大都市を含めた全国で参考になる。

一般に、憩いや談笑の場、介護施設、働く場はそれぞれ別に設置されることが多い。それぞれの施設の監督官庁が異なり、補助金の出所が違うこともこのような状況を生んでいる原因のひとつだが、安芸太田町の温泉施設「月ヶ瀬温泉」のように、一箇所で多様な機能を持った施設があれば、コミュニケーションの幅が拡がり、より大きな、かつ、活動的なコミュニティが形成される。東京都など財政の強い自治体は、国の補助金に頼るまでもなく、独自の事業として同様の施設を作っていくべきだ。