60歳以上、37%が就労高齢社会白書

政府は31日の閣議で、2020年版の高齢社会白書を決定した。60歳以上の男女への調査では、現在収入のある仕事をしていると答えた人の割合は37.3%と、16年の調査から4.4ポイント増加。全体の約4分の3に当たる74.1%の人が「心配なく暮らしている」と答えた。調査結果について内閣府担当者は「豊かで安定した生活を送る高齢者が増えた」と分析。ただ調査は新型コロナウイルス感染拡大前の1月に行われたことから「現在は生活面でさまざまな不安を抱えているとみられる」としている。(時事通信7月31日)

高齢化が急速に進む日本だが、それでも多くの人々が心配なく暮らしている。仕事をしている人が増えているのがその主たる要因かどうかは定かではないが、就労と幸福感には相関関係があるのは確かだ。この高齢社会白書によれば、60~64歳の就業率は2019年に70.3%に達した。2011年には57.1%であったことを考えれば、有意に増加したと言ってよい。

長生きのリスクにも留意しなければならない時代であるが、長く働くことができれば、ある程度の安心を得ることができる。また、幸福感を得るには健康であることも重要だ。高齢社会白書は、健康寿命の延びが平均寿命の延びよりも大きいことを指摘している。

つまり、介護が必要になるなど日常生活に制限を強いられる期間が短くなってきたということだ。健康寿命が延びれば働ける年齢も延びる。収入と健康、この2つは高齢者の幸福感を高めるのに欠かせない。