世界の出生率、驚異的な低下 23カ国で今世紀末までに人口半減
出生率の低下により、世界の人口は2064年にピーク(約97億人)を迎えた後、今世紀末には約88億人にまで減少するという予測を、米ワシントン大学の研究チームが発表した。研究者たちは、社会に「仰天するほどの」衝撃をもたらすことになる出生率の低下に対して、世界は準備不足だと指摘している。
(BBC NEWS 7月15日)
少子高齢化は日本だけの問題ではない。平均寿命は世界中で延びているし、世界全体の出生率は減少している。先進国だけでなく、今まで出生率が高かったアフリカやアジアでも出生率の低下が顕著になってきた。この記事に紹介された米ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)のレポートによれば、2017年の世界の出生率は2.4だ。2.1を切ると世界の人口は減少に転ずることになる。
今日まで、日本を除く先進国の多くは、移民や外国人労働者の受け入れによって、労働力の不足を補ってきた。しかし、新興国でも少子化が進めば、それも難しくなる。また、日本も含めて先進国の企業は、新興国の経済成長に投資することでリターンを得てきたが、少子高齢化になれば、新興国の成長も鈍化する。つまり、世界全体で少子高齢化が進行すると、労働力が不足し、投資先が見つからず、金融を緩和してもデフレ傾向が持続するという日本化が世界中で進む。
このような状況の中で、世界経済が持続可能な着地点を見出すためには、非婚化、晩婚化が進んでも女性全体が産む子供の数が減らないような社会制度の確立が必要だ。加えて、そうした社会制度を支えるためにも、シニアの就労を促進させることが重要になる。