65歳、再雇用後も現役並み給与
TISは4月、定年を迎えた従業員を対象とする新たな再雇用制度を導入した。売りは「現役時代と変わらない処遇」だ。雇用期間は1年ごとに更新され、一定以上の評価や所属部署の推薦などが要件となるが、基本給は定年前の水準を維持し、賞与や各種手当も変わらず支給する。従来の再雇用では社員の年収は半減したが、新制度で40~50代の現役よりも稼ぐ「スーパー・シニア」が登場する可能性もある。
(日本経済新聞 6月22日)
IT業界の現場では、新技術を駆使して最新のシステムを開発するだけでなく、既存システムの保守や仕様変更の業務も多い。
特に、歴史の長い大企業では、2000年前後に構築された基幹システムを改修しながら使い続けている企業も珍しくない。
そうなると、過去の情報システムを熟知したシステム・エンジニアは、情報システム部門になくてはならない存在となる。
また、大規模なプロジェクトのマネジメントやシステム開発のリスク管理は、どれだけ修羅場を乗り越えてきたかという経験がものを言う世界だ。
こうしたノウハウを持ったシニアは辞めて欲しくないというのがシステム開発を手がけるIT企業の本音だろう。
ただ、すべてのシニアが企業にとって希少な能力を持っているわけではないし、能力があってもそれを発揮する機会が社内にあるとは限らない。
現役世代に比べて、シニアの待遇格差が広がるのは致し方ない面がある。シニアの方も自社にこだわらず、自分の能力をより活かせる機会を求めて、労働市場に出て行くべきだ。
新型コロナウイルスの感染が終息して雇用が回復すれば、いずれ定年後の転職で給与がアップすることも珍しくない時代になる。