製造・サービス業、人手「過剰」に コロナが直撃
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、人手不足感がしぼんでいる。内閣府と財務省が11日発表した4~6月期の法人企業景気予測調査によると、大企業のうち製造業とサービス業で従業員が「過剰気味」と答えた企業の割合が「不足気味」を上回った。女性や高齢者の雇用を増やしてきた業種が転機を迎えた。
(日本経済新聞 6月11日)
新型コロナウイルスの影響が長期化している。日本における新規感染者は減少したとはいえ、完全に終息したわけではなく、ウイルスは市中に潜んだままだ。世界では、中南米を中心に、パンデミックはなお拡大を続けている。経済活動が再開されれば、日本でも再び感染が拡大する可能性が高い。
そうなると製造業やサービス業における需要の減退は長期化することが予想される。特に、飲食店やホテルなど顧客との接触を伴うサービス業は、営業を再開しても集客に苦慮する状況が続く。
サービス業では、今までの人手不足が一転して雇用危機に変わった。非正規で働く高齢者の雇用も厳しい。
この状況を乗り切るには、新型コロナウイルスが季節性インフルエンザのように短期間で終息しないことを前提として今後の仕事を考えることが重要だ。
人手が過剰になった産業の雇用回復を待つよりは、今なお、人手不足が続いている小売、物流、建設などの産業へシフトした方が雇用機会は大きい。
日本経済全体が影響を受けているとはいえ、大企業全産業の従業員数判断BSIはなおプラスであり、従業員が不足気味の企業の数は過剰気味の企業の数を上回っている。
アフターコロナは産業構造が変化した世界だ。失われる需要や雇用がある一方で、新たな需要も雇用も生まれる。
この機会に、高齢者も、アフターコロナを見据えて、新たな雇用機会を探してみるのも良いだろう。