国民が望む社会保障制度のあり方
パソナグループで、社内外の専門家とともに様々な社会課題の解決に向けたフォーラムの開催や提言を行う「パソナ総合研究所」はこの度、20代~70歳以上まで全世代を対象に、『全世代型社会保障に関する意識調査』を実施いたしました。
(中略)
就労人口の拡大策については「65歳以上就労者の増加策」が約4割、「女性就労者の増加策」が約2割だった。高齢者については「定年延長等」を求める声が多く、女性については、「保育所や学童保育の拡充」「短時間労働や在宅労働などの拡充」が多かった。
(パソナグループ プレスリリース 6月1日)
社会保障制度を持続可能にするには、就労人口の拡大が欠かせない。そのためには、高齢者や女性の就労を促進する必要があるというのも、当然の帰結だ。
ただし、人口全体が減少している中で、高齢者や女性の数にも限界がある。
この調査で高齢者よりも女性の就労者の増加策を求める声が少なかったのは、女性の就労率は既に飽和に近づいているという認識が浸透しているためかもしれない。その意味では、高齢就労者の増加策は、より重要性を増している。
一方、結婚や出産が女性のキャリア形成に不利にならないような人事制度や組織風土を確立するとともに、女性も男性も育児と仕事を両立できるような勤務形態を推進することも重要だ。
これらは、女性の就労率の向上に寄与するだけでなく、非婚化、晩婚化を抑制し、結婚した夫婦が子供を持とうとする意欲を高めることにつながる。
短期的には、高齢就労者の増加で、就労人口を維持しても、長期的には、出生率を向上させないかぎり、就労者の減少は避けられない。
就労促進に関する高齢者対策と女性対策は、持続可能な社会保障制度を支える車の両輪だ。