定年帰農に逆風?!「70歳就業法」施行

企業に70歳までの雇用の確保を努力義務とするなど6つの関連法が来年4月から実施されることに、農業現場から戸惑いの声が上がっている。中高年の新規就農者の確保が進まない可能性があるからだ。識者は、農業の基盤強化の観点から、地域農業を支える中高年の新規就農について、年齢別のライフプランなどを国が就農希望者に示すべきだと話す。
(日本農業新聞 5月29日)

60歳で定年を迎えた人が、故郷に帰って農業に従事することは珍しくない。特に、農家の出身者は、80歳を過ぎて農業の継続が難しくなっている親から農地を受け継ぎ、地域の農業を支える役割を果たしてきた。

しかし、企業の雇用が70歳まで延長されると、定年帰農者は減る可能性がある。農家出身であっても70歳になってから新たに農業を始めるのは、ハードルが高い。

この問題の解決はなかなか難しいが、全く解がないわけでもない。たとえば、今、新型コロナウイルスの感染予防のため、都市部に住んでいても多くの人々が在宅勤務をしている。テレワークであれば、住む場所に制約はなくなり、農村に住むことも可能だ。実際、別荘に生活の拠点を移し、そこで仕事をしている人もいる。今後は、帰農して農業をしながら、今まで働いていた企業でもテレワークで仕事を続けるという就労形態も普通になるだろう。テレワークがニューノーマル、即ち、新常態となれば、帰農と企業による70歳までの雇用の両立もまた、ニューノーマルとなる可能性はある。