マンダム、シニアも正社員で働きがい
化粧品のマンダムが中高年社員の「働きがい改革」を進めている。
4月からシニア正社員制度を立ち上げ、定年を65歳に延長した。嘱託社員として60歳以降も働く場合に比べて仕事の裁量が大きく、給与も高いのが特長だ。
一方で一定の年齢になると役職を外れる役職勇退制度も導入した。次世代に早めにポストを譲りつつ、現場で自身の強みを発揮してもらう。多くの社員がやりがいをもって働き続けられる環境を整える。
(日本経済新聞 4月14日)
大手企業で定年延長に踏み切る企業はまだ少ないが、その数は着実に増加している。
ただ、定年を延長した期間の処遇については、それぞれの企業の手探りが続いているのが現状だ。マンダムの場合は、60歳の定年を65歳に延長し、その延長した5年間については、役職を離任し、権限は小さく給与は低くなるものの、嘱託社員として働くよりは裁量が大きく、給与も高くなる。
つまり、この5年間の処遇は、現役を自然に延長した場合と嘱託社員になる場合との中間に位置するという折衷案だ。
このような折衷案は、既存の制度を漸次的に変化させるため、組織にとって受け入れられやすい。どの点に折衷させるかは企業によって異なるが、折衷案方式は、今後、多くの企業で取り入れられるだろう。
もっとも、これは過渡期の現象であって、変化のゴールではない。この変化の行き着く先は、米国のように年齢によって処遇の差のない人事制度、つまり定年制そのものの廃止だ。
日本企業には、足元の現実と向き合いながら、一方では、長期的なゴールを見据えた人事制度改革が求められている