大分大山町農協が〝生きがい農場〟整備 高齢者を雇用、集いの場に

日田市大山町の大分大山町農協は、高齢者を雇用して野菜を栽培する新しい農場を町内東大山の中間地区に整備した。付属施設を農家や地域の集いの場として活用。高齢者の収入を支えながら、生きがい作りや地域活性化につなげるユニークな試みだ。
(大分合同新聞 3月20日)

大分大山農協は、山間で大規模農業に向かない土地でありながら、有機農業や直販店の地域外への展開など、高付加価値を生む農業を展開してきた。その大分大山農協が4月から「文産農場」と名付けた新しい農場を始める。文化と地域産業を育てるという意味だ。この農場では、高齢者を契約職員として雇用するだけでなく、地域交流の場としても機能するよう工夫している。

農場のビニールハウスでは、テーブルの上でクレソンを栽培する。野菜を地面よりも高い場所で栽培することで、腰の弱い高齢者でも作業が楽になる。また、すべての農作業を家族で行う個人経営の農家とは異なり、高齢者の希望に合わせた柔軟な勤労形態を選択することもできる。自由な時間は、付属施設で地域の人々との交流に費やすことも可能だ。

この文産農場の発想は、これまで大分大山農協が進めてきた農業の第6次産業化の視点を変えた応用編とも言える。農業の第6次産業化は、農産物を起点に、その生産から加工、卸、小売、外食などサプライチェーンに沿って産業を連携、拡大することによって全体の付加価値を高めるものだ。一方、文産農場は、働く人、とりわけ大山地域で多い高齢者を起点に、その生活時間や社会との関わりを就業時間以外にも拡大することによって、高齢者個人の生活の質の向上と地域全体の活性化を目指している。第6次産業化が全国の農村に拡大したように、文産農場の取り組みも、今後、全国に拡がっていくことだろう。