66歳以上継続雇用に補助 厚木市、1人あたり最大3万円

神奈川県厚木市は2020年度、66歳以上の従業員を1年以上継続して雇用している中小企業と小規模事業者への補助金を設ける。市内に本社のある企業が対象で、1人あたり最大3万円を補助する。人手不足の解消と高齢者の雇用機会創出を図る。県内で初めての取り組みだという。
従業員が市内在住の場合は3万円、市外在住の場合は1万円を補助する。週20時間以上の勤務を条件に、1社あたり最大3人が対象になる。20年度予算案に985万円を盛り込んだ。
(日本経済新聞 2月16日)

国が70歳までの就業機会の確保を努力義務とするのに対応して、地方自治体が地元企業の支援に乗り出している。事業者に対して補助金を交付するというのは、日本の行政の施策としては典型的な手法だが、ときとして本来の政策目的の達成には効果がなく、単に、一部の企業に税金をばらまくだけに終わることもある。

厚木市の高年齢者継続雇用奨励補助金は、1人当たり3万円、または、1万円を年1回、企業に交付する。税金を投入する以上、厚木市は、年3万円を受けることを理由に高齢者を1人雇用する企業がどれほどあるのか、その効果を定量的に測定するべきだ。もし、その効果が小さい場合、年3万円をもらわなくても元々66歳以上の従業員を雇用し続けるつもりであった企業が、この補助金を申請したということになる。この制度が目的として掲げる「企業の人材確保及び技術の継承を促進する」を達成するには、年3万円の補助金よりも、高齢者が働きやすく、その能力を発揮しやすい人事制度の導入を支援する方が、より効果的なのかもしれない。