高齢者がアシストスーツ着用し作業実験 東京都豊島区
東京都豊島区は2020年度、ロボット技術で体の動きを支援する「パワーアシストスーツ」を高齢者が着用し清掃作業などに従事する実証試験を始める。ニーズや課題点を洗い出し、気軽に着られて目立たない高齢者向け製品を大学やメーカーが開発できるよう後押しする。
既存の市販品を10台程度購入し、高齢者の就労を支援する豊島区シルバー人材センターに貸し出す。高齢者が清掃業務や倉庫の軽作業、ポスティングなどの仕事に従事する際に着用してもらい、感想を聞く。
(日本経済新聞 2月6日)
パワーアシストスーツは技術的には、十分に実用化の段階にあり、物流拠点の作業支援などで実際に使われている。ただ、まだ価格が高く、広く普及するまでには至っていない。米国や中国などは、軍事目的で兵士が装着するパワーアシストスーツを開発している。軍事用の製品が大量生産されるようになれば、民生用の製品も価格が低下し、普及が進むと期待されているが、軍事用と民生用ではニーズは微妙に異なる。
特に、高齢者が装着するとなると、現在の重たい装置では、装着すら自分でできず、介助が必要となる。「気軽に着られて目立たない」というニーズは、若い兵士にはあまり重要でなくても、高齢者にとっては欠かせない要件だ。米中の巨額の軍事予算に比べると小さな投資ではあるが、豊島区の取り組みには意義がある。実証実験の結果に期待したい。