中高年転職、6年で3倍 人材3社の紹介が1万人突破へ 厚待遇の派遣も
40歳以上の中高年人材の転職市場が立ち上がりつつある。リクルートキャリアなど人材大手3社の41歳以上の転職紹介数は、2019年度に初めて1万人を超える見通しだ。6年前の3倍の水準となる。早期退職など上場企業の人員削減策は19年、1万人を超えた。人員構成でも給与面でも比重が大きいバブル世代などの処遇は企業にとり課題だ。未成熟だった中高年の人材流動化が進めば、年功序列など日本型雇用の見直しにつながる可能性がある。
(日本経済新聞 1月24日)
欧米では転職するのに年齢はさほど関係ないのに対して、日本では40歳未満の人の転職が多かった。しかし、日本でも中高年の転職は普通になりつつある。大企業の黒字リストラが拡がり、労働市場への中高年の供給が増えているという事情もあるが、一方で、企業の中高年への需要も増えて求人が増加していることも、その理由のひとつだ。
中高年も含めて、労働力の流動性が上がり、企業の枠を越えて社会全体で適材適所に近づくことは、国民経済全体を俯瞰するマクロな観点に立てば、歓迎すべきことだ。今後は、ミクロに見るとまだ残っている中高年の求職者と求人とのミス・マッチを如何に解消するかが日本の課題となる。
中高年への求人では専門的な知識やノウハウを期待することが多いが、年功だけで地位や給与が上がってきた人ではその期待に応えられない。一方、求人している企業が、中高年者の給与を低く抑え、求める専門的なスキルに見合った待遇を用意していないこともある。企業もそこで働く個人も、ともに市場価値を高める努力が重要だ。