企業に対し高齢労働者の体力確認求める、厚労省
厚生労働省は25日、高齢労働者が働きやすい環境をつくるため、企業に対して、高齢者の体力チェックなど病気や労災を防ぐ対策や作業環境の整備などを求める報告書をまとめた。政府は「人生100年時代」を掲げ、希望者が70歳まで働けるよう雇用環境などの整備を進めている。厚労省は報告書の内容をまとめたガイドラインを作成し、企業に取り組みを促す。
(共同通信 12月25日)
統計的に高齢者の方が労災発生確率は高い。特に、建設現場など若い健常者を前提として業務プロセスが構築されている仕事では、高齢者が事故に遭うリスクは高くなる。仕事が原因で病気になるリスクも同様に高齢者の方が高い。高齢者の雇用機会を拡げるには、こうしたリスクを低減するための雇用環境の整備が必要だ。
そのためには、厚労省が求めているように、企業が基準を作って継続的にチェックすることが重要だが、それは、企業にとって負担増の要因でもある。問題は、そうしたチェックを如何に効率化し、企業負担を低減するかだ。
ひとつの解は、ITの活用にある。たとえば、動画をAIで分析することによって作業員の行動を把握し、事故発生の危険を事前に評価することもできる。IoTを活用すれば、行動分析の入力データはさらに豊富になるだろう。また、健康状態をリアルタイムに計測する器機を装着すれば、作業員の健康状態を常時把握することも可能になる。厚労省が作成するガイドラインには、企業は行うべきことだけでなく、こうした企業にとって役立つ技術情報も合わせて掲載し、社会全体で共有するべきだ。