確定拠出年金、75歳から受給可能に 厚労省が改革案

厚生労働省が検討してきた私的年金制度の改革案が23日、わかった。確定拠出年金の受給開始年齢は個人型(イデコ)、企業型ともに60~70歳の間で選べるが、これを60~75歳に広げる。イデコはすべての会社員が入れるようにするほか、加入できる年齢も延ばす。税制優遇を受けてより長く運用できるようにして、老後の資産形成を後押しする。(日本経済新聞 12月24日)

公的年金の受け取り開始年齢を60~75歳に拡大することのであれば、私的年金のひとつである確定拠出年金の受給開始年齢もこれに合わせて60~75歳に幅を拡げるのは自然なことだ。ただ、確定拠出年金には、掛け金や利息・運用益が非課税になるなど税制上の優遇措置がある。受給開始年齢を遅らせれば、運用益の非課税の期間は長くなり、国にとっては税収の減少をもたらす。厚生労働省だけでは、決められない問題だ。

しかし、ここへきて、財務省も含めた政府全体で調整がとれた。マクロに見れば、確定拠出年金の加入期間や運用期間の延長による税収減よりも、高齢者の雇用促進と老後の資産形成による経済成長のメリットの方が大きい。経済全体の成長なくして、税収の増加は望めない。この点で政府内のコンセンサスが取れたことは評価に値する。

問題は、確定拠出年金が着実に運用益を上げられる経済状態を持続できるかだ。金融市場が暴落するような事態になれば、確定拠出年金は巨額の損失を抱えることになり、運用益を非課税にする意味はなくなる。長期的に経済を安定成長させる持続可能な金融、財政政策が重要だ。