60歳以上の給料穴埋め廃止へ 企業の自力対応促す、政府方針

現役時代に比べて賃金が大幅に下がった60~64歳の高齢者に穴埋めとして支給する「高年齢雇用継続給付」を政府が段階的に廃止する方針であることが6日、分かった。現在の給付水準を2025年度に60歳になる人から半減させ、30年度以降60歳になる人から廃止する。主に現在54歳の人から半減が始まる計算になる。65歳までの継続雇用が25年度から完全義務化されるため、企業が自力で対応し賃金水準を確保すべきだと判断した。
(共同通信 12月7日)

60歳を超えても働くことができたとしても、現役時代に比べて賃金が大幅に下がるならば、高齢者の働く意欲がなくなる。一方、高齢者が働く意欲を持ち続ける程度の賃金を維持するのは企業にとって負担が大きい。そこで、賃金の減額分の穴埋めとして国が支給してきたのが高年齢雇用継続給付だ。

しかし、65歳までの雇用継続が企業の義務になるなら、高齢者が働く意欲を持ち続ける程度の賃金を支払うことは企業の義務となる。国が給付金を廃止するのは当然だろう。

高年齢雇用継続給付の廃止に対応して企業がとる施策には2通りの方向性がある。ひとつは、60~65歳の賃金を引き上げることだ。企業の負担は大きくなるが、ある程度はやむを得ない。もうひとつのアプローチは、50代の賃金を抑制して、60歳以上との差を縮小させることだ。おそらく、多くの企業は、この両方の施策を行うことになるだろう。いずれにしても、60歳を境にして、大きく賃金が下がることは少なくなり、年齢ではなく、業務と能力によって賃金が決まる制度に移行することになる。