60~70代を再雇用、大分の農協 クレソンやハーブ収穫
大分大山町農業協同組合(大分県日田市)は農家で働いていた高齢者を今年の冬から契約職員として雇用する。クレソンやハーブなどの野菜をハウス生産し、農協の直売店で販売する。大分大山町農協は生産から加工、販売まで手掛ける農業の「6次産業化」のモデルとして知られる。矢羽田正豪組合長は「年金で生活している高齢者が農業を通じて生きがいを高める一助としたい」と話している。
(日本経済新聞九州・沖縄版 11月25日)
農業の高齢化が進み、離農する高齢者が増えて、農業の担い手が減少し、農業の将来が危ぶまれている。個人の農家では、高齢になると一人ですべての農作業をこなすのは厳しくなり、農業を続けることは難しい。
しかし、農協のように一定の規模がある組織では、作業を分業することができ、高齢者の健康状態や希望に合わせて作業を割り振ることができる。高齢者に合わせた多様な働き方を提供できるのは、農協の強みだ。大分大山町農協では、1日5時間程度の軽作業を想定しているが、さらに、多様化させることも可能だろう。
今後、農業は主たる産業である地域では、農協や農業法人のような組織的に農業を運営する事業体が、地域コミュニティーの核として期待される。高齢者に雇用機会を提供し、地域の人手不足を緩和して、地場産業である農業を継続すること、それが、農協を始めとする農業に関わる事業主の地域における新たな社会的使命だ。