定年制廃止など評価 南島原・アパレルオオタが厚生労働大臣表彰
高齢者が能力や経験を生かして働ける工夫をしている事業者を顕彰する国の「高年齢者雇用開発コンテスト」で、南島原市加津佐町のアパレルオオタ(太田浩二社長)が厚生労働大臣表彰(特別賞)に選ばれた。高齢従業員の専門技術を財産と捉え、今年5月に定年制を廃止したことなどが評価された。表彰式は今月、都内で行われた。
同社は1987年創業。主に婦人服やベビー服の縫製加工などを手掛けている。従業員は92人。60歳以上が27人で全体の約3割を占める。最高齢は75歳。定年制を廃止したほか、体力低下や健康状態に配慮して65歳以上の従業員は要望に応じて短日・短時間勤務を可能にしたことなどが評価された。
(長崎新聞 10月25日)
厚生労働省と高齢・障害・求職者雇用支援機構が毎年開催している高年齢者雇用開発コンテストでは、定年制を廃止した企業が表彰されることが多くなってきた。それだけ、定年廃止が普通になってきた証左でもある。
問題は、定年制を廃止したことで、従業員の働き方に対する希望が多様化することだ。今回表彰されたアパレルオオタは、その多様な要望にきめ細かく対応できるよう勤務形態を工夫した点が評価された。縫製が主な業務だが、縫製は見た目よりも体を使う仕事だ。高齢でなくても、腰痛や肩こりに悩まされる作業員は多い。職業病とも言えるこれらの体調不良を起こさないよう、企業には個々の作業員に合わせた柔軟な職場環境の整備が求められている。
腰痛や肩こりが多いのは、パソコンに長時間向き合うホワイトカラーの職場でも同様だ。アパレルオオタの事例は、縫製業界を超えて、多くの産業や職場で参考になるだろう。