シルバー人材 5年間で最少、石川県

高齢者が経験や能力を生かし、地域に貢献するシルバー人材センターの県内会員数が2018年度、過去5年間で最少だったことが分かった。背景には高齢化社会が進む一方、民間では定年退職の延長や再雇用の動きが活発で、60歳代の入会が減っていることなどがある。センター側は今秋、初のPRイベントを開き、会員獲得に乗り出した。
県シルバー人材センター連合会(金沢市)によると会員は微減の傾向。18年度は9,723人で、ピークだった05年度から約千人減った。特に60~64歳が全体のわずか5.3%にとどまるなど「若手」の入会が進んでいないのが現状だ。
(中日新聞 10月11日)

全国各地のシルバー人材センターで、会員数が減少している。高齢者の就労率は向上しているが、定年延長や歳雇用の拡大で、退職者が減少していることが原因のひとつだ。シルバー人材センターの社会的役割が低くなっているとしたら、会員の減少は企業との間の役割分担の変化の結果であって、特に、悪いことではないとも考えられる。

しかし、見方を変えれば、シルバー人材センターが提供している雇用機会は、60歳で退職することを前提としたもので、今の時代に即していないとも言える。これからのシルバー人材センターの果たす役割は、65歳以上の高齢者に適した雇用を開拓するとともに、65歳未満の就労している人々に所得の底上げをもたらす副職の機会を提供することだ。特に、副職機会の提供には、さらなる工夫の余地がある。従来の清掃、家事手伝い、庭木の剪定などの軽作業だけでなく、ネットを活用した時給の高い知的な業務も斡旋し、サービス対象の範囲拡大を図るべきだ。