若者の引退希望年齢は65歳 : 働く高齢者862万人の現実
日本財団が17~19歳の男女1000人を対象に実施した意識調査で、「あなたは何歳まで働きたいですか」との問いに対して、「65歳未満」「65歳」の合計が42.8%だった。人生100年時代、政府は高齢者の力を活用しようとあの手この手と必死だが、若者たちには、厳しい現実はまだ伝わっていないようだ。
「65歳」「65歳未満」と答えた人の自由回答には、「のんびり年金生活をしたいから」「その年ぐらいが限界な気がする」「定年まで働いたら、あとは年金で生活できるから」「体力的にそれぐらいと思う」などの声があった。
(nippon.com 9月26日)
17~19歳といえば、高卒で働き始めたか、まだ大学生の年頃だ。「何歳まで働きたいか?」という問いを自分自身の問題として考えたことはないだろう。おそらく、両親のように身近にいる大人がどう考えているかを参考にして、答えることになる。そうだとすると「65歳未満」「65歳」の合計が42.8%だったのは、うなずける。ただ、残念なことに、今の17~19歳が60歳になる頃には、60歳で引退して年金でのんびり暮らすことのできる人はわずかだ。
しかし、そうであっても、「X歳まで働きたい」という希望と、「X歳まで働かなくてはならない」という現実とが一致している必要もない。米国では、40代までに十分な資産を貯めて早期に引退し、後は資産運用で生活することを夢見て、猛烈に働いている若者もいる。低金利時代とはいえ、日本に比べて資産運用の利回りが高い米国ならではの生活設計とも言えるが、若者の目標のひとつに早期引退がある社会は、むしろ活気がある。日本のアンケートの回答にも「若い時に十分に稼いで、後は別の人生を楽しみたいから」と答える若者が増えると日本の未来も明るくなるのかもしれない。