65歳から培うIT技能 シンガポール、生産性維持へ高齢者教育
65歳といえば大概の人は、定年を迎えキャリアを終えようとする頃だ。しかし、世界有数の平均余命を誇るシンガポールは、定年と再雇用の年齢の上限を引き上げる方針を打ち出した。同国では労働者が生産性を維持するための新たな技術習得に駆り立てられている。
(中略)
シンガポールでは労働人口の高齢化に伴い生産性が落ちてきており、労働者にはデジタル世界に対応する新たな技術の獲得が奨励されている。(Bloomberg 9月24日)
アジアでは比較的高い生産性を誇るシンガポールだが、労働人口の高齢化はその自慢の生産性にマイナスの影響を与えている。このため、シンガポールとしては、定年や再雇用年齢の引き上げを進めるとともに、生産性を維持することも重要な政策課題だ。
日本の高齢化対策では、高齢の貧困層の拡大を抑制し、社会保障の財政改善を図るため、高齢者の雇用機会の拡大が主たる政策目標とされている。しかし、シンガポールは、単に高齢者の働く機会を増やすだけでなく、働くことによって生み出される付加価値も増大させ、生産性の維持、向上させることも目指している。高齢者への最新技術の習得機会の提供は、そのための政策だ。
今や、日本の一人当たりの国民所得はシンガポールよりも低い。この差を拡大させないためには、日本の高齢者も、できる仕事を探すだけでなく、できる仕事の付加価値を高める努力が必要だ。そうしなければ、日本社会全体が貧困層へ転落しかねない。