65歳以上人口が最高28.4%、 7人に1人が75歳以上

総務省が16日の敬老の日にあわせてまとめた15日時点の人口推計によると、65歳以上の高齢者人口は前年比32万人増の3588万人だった。過去最多を更新し、総人口の28.4%を占めた。後期高齢者医療制度の対象となる75歳以上は53万人増え1848万人となった。総人口の14.7%とおよそ7人に1人に上り、超高齢化社会を支える制度づくりが急務だ。(日本経済新聞 9月15日)

毎年発表される総務省の人口推計は、発表のたびに、65歳以上の高齢者人口の記録を塗り替えている。総人口の28.4%という割合は、世界201の国・地域の中で最高だ。世界に先んじて超高齢化社会を支える制度づくりという課題に直面している日本だが、問題の進行速度に制度づくりが追いついていない。施策案はできても、社会的なコンセンサスを得て、それを実行に移すのに時間がかかりすぎている。たとえば、長期的な視点に立てば、高齢化対策の予算を削減して、少子化対策の予算を拡充することが合理的な判断ではあるが、既存の予算の削減には抵抗が大きい。

ただ、日本の高齢者の就業率は24.3%と先進国の中でも高い方であり、この点では、比較的成功していると言える。一方、定年もなく、年齢に関係なく就業できる米国は18.9%と日本よりも低い。これは雇用制度よりも働く意欲の方が高齢者の就業率に与える影響が大きいことの証左でもある。国は、多額の国家予算を投入しなくても日本の高齢者が働く意欲を維持できるような制度設計を進めるとともに、少子化対策の優先順位を上げて重点的に取り組むべきだ。