65歳定年、企業年金も改革競う 給付額が働く意欲左右

定年延長を受けて企業年金の改革が相次いでいる。焦点は年金の給付額をどう設定するかで、(1)水準を引き上げる「拡充型」(2)60歳時点から横ばいとする「据え置き型」(3)全体の増え方をなだらかにする「修正型」――の3つに大別できる。経験値の高さが生きやすいビジネスかどうかなどの違いで、従業員にどれだけ長く働いてもらいたいかは企業ごとにばらつきがあり、それが年金改革に幅をもたらしている。
(日本経済新聞 9月1日)

給与や年金の制度を変えないまま定年を延長すれば、企業にとっては負担増となる。この負担増と高齢の従業員を確保し続けることのメリットとのバランスをどう取るか、そこが定年延長にあたって各企業が直面する課題だ。

確定給付年金の給付額は勤続年数によって増加するため、定年延長後も変更せずにそのまま続ければ給付水準は自然に増加する。この記事では、「水準を引き上げる拡充型」と表現されているが、「水準の自然増型」と言った方が実態にあっている。そして、「据え置き型」は60歳以上の給付水準の勤続年数による増加をゼロし、「修正型」はそれを自然増とゼロの間に設定するということだ。

どのような制度が正しいのか、その一般的な解はない。ただ、多くの企業は、定年延長に伴うコスト増を緩やかなものにしようとするため、「据え置き型」や「修正型」を選択することが少なくない。しかし、ここで留意しなければならないことは、年金給付水準の勤続年数による増加の割合を年齢によって極端に変えることが合理的なのかどうかという点だ。高齢の従業員が生み出す付加価値と報酬とのバランスを取ろうとするなら、本来、それは年金ではなく給与で取るべきだろう。