元気な中高年が働ける場を、宝塚市が雇用創出事業を開始
定年退職や子育ての終了などで余力がある中高年が気軽に働ける仕組みを作ろうと、兵庫県宝塚市が民間事業者と協力して雇用を生み出す取り組みを始めた。第1弾は人手不足に悩む介護業界とのマッチング。既に60~80代の17人が市内の老人ホームで短時間の勤務に励む。就労者と事業者の双方から好評で、関係者は「保育など他業種にも広げていきたい」としている。
同市では、高齢者に優しいまちづくりを実現するため、公募市民が新たな取り組みを話し合う「お互いさまのまちづくり縁卓会議」が昨年10月に発足。健康・生きがい就労▽居場所づくり▽広報・情報-の3部会で議論し、「健康-」部会で介護職とのマッチングが企画された。(神戸新聞 7月18日)
介護施設で働く高齢者は全国的に増えているが、今まで、介護業界で就労経験のない高齢者にとっては、敷居が高い面もある。雇う側の施設の方でも、高齢になると個人差が大きくなるだけに、高齢者にどの程度期待できるのか、図りかねることもある。その点、宝塚市が始めたように、短時間勤務から試してみるのは、就労者と就業者の双方にとって相互理解を深める上で望ましい。いわば、高齢者のためのインターンシップ制度のようなものだ。
一方、給与は、宝塚市の場合、最低賃金と同程度であり、それほど多くの高齢者が応募しているわけではない。ただ、高齢の就労者が介護業務に習熟してくれば、その中から資格を取得する者も増え、平均賃金も高くなる。地方自治体としては、マッチングサービスだけでなく、就職後のキャリアアップを支援することが課題となるだろう。キャリアアップの道筋を示すことができれば、高齢の就労希望者はもっと増えるはずだ。