団塊世代まだまだ出番あり 2025年問題でも「社会の役に」
昭和から平成を駆け抜けた団塊の世代。世代全員が75歳以上の後期高齢者となり、社会保障費の増大などが懸念される「2025年問題」が注目され、社会のマイナス要因として捉えられがちな団塊世代の人たちが兵庫県尼崎市で、精力的に活動している。「支えられるのではなく、社会を支える側に」と、今春からは市街地の農地を耕し、同世代での社会貢献を目指す。その名は「団塊世代出番塾」。(神戸新聞 6月22日)
企業に勤め続けるのも社会への参画だが、自ら事業を企画して始めるのも価値のある社会貢献だ。高齢者の雇用と社会参画の機会を自ら創造するという点においては、就業より起業の方が社会へよりポジティブな影響を与える。
尼崎市で始まった「団塊世代出番塾」は、担い手不足に陥った農地を利用した事業に取り組んでいるが、ボランティアの域を超え、体験型農業や特産品の開発など営利事業として持続性のあるビジネスモデルを指向している。ボランティア活動は資金面の支援者がなければ継続は難しいが、薄利であっても採算が取れれば、自立した事業継続が可能だ。将来、団塊の世代がこの事業から引退して「団塊世代出番塾」の名称が変わったとしても、次の世代が事業を引き継ぐことができるだろう。かつて団塊の世代が築いた高度経済成長やバブル経済は、永続的なモデルではなかったが、今「団塊世代出番塾」が創ろうとしているビジネスモデルは、より永く後世に残るに違いない。