シニアの「短時間雇用」へ本腰 業務切り分け1日3時間、福岡市が仕組みづくり

超高齢社会を迎え、労働人口不足が進むなか、福岡市は、就業意欲の高い高齢者が働きやすい環境を整えようと「短時間雇用」の仕組みづくりに乗り出した。負担がそれほど重くない勤務体系を望むニーズが高いことから、企業側に対し、従来は正社員がフルタイムでこなしている業務を切り分ける形で求人してもらい、雇用をマッチングしていく。高齢者の就業促進は健康寿命の延伸につながることも期待され、介護予防にも一役買いそうだ。
(西日本新聞 5月30日)

短時間勤務の仕事を求める高齢者は多い。体力に自信がなかったり、家族の介護に時間を割く必要があったり、自由な時間を優先したかったりと、その理由は様々だが、子育ての負担から解放された高齢者であれば、収入より時間を重視するのも自然なことだ。

一方、求人側の企業では、業務分担はフルタイムを前提に組み立てられていることが多い。パート中心の職場もあるが、それでも1日数時間は勤務するのが普通だ。このため、シルバー人材センターでは、月10日以内、週20時間以内の就業について職業紹介をしているものの、この就業時間の短さがネックとなって、この人手不足の中にあっても、それほど多くの求人が寄せられていない。福岡市が企業に仕事の切り分けを働きかけることは、企業の勤務体系を変革させる契機となる。福岡での知見が全国に波及することを期待したい。