パソナ、70歳の新入社員も=シニア人材入社式

人材派遣大手のパソナグループは27日、正社員として採用したシニア人材の入社式を東京都千代田区の本社で開催した。他社を定年退職した人らで、出席した65人の年齢は50代から最年長は70歳。ベテランの経験を生かし、第二の人生を新入社員として踏み出した。
 南部靖之グループ代表(67)は「50代で分からなかったことが60代で判断できるようになる」と述べ、シニア雇用の意義を強調した。
 同社はシニア正社員を80人採用。うち50人程度は営業や財務などこれまでの経験を生かした業務に従事する。20人程度は兵庫県淡路島や京都府京丹後市などで同社の観光施設運営に当たる。残りはコンサルタントの支援を受けながら起業を目指す。
(時事ドットコム 3月27日)

人材派遣会社が80人の規模で高齢者の正社員としての採用に踏み切ったことは、労働市場で、それだけ高齢者の需要が大きくなってきていることの証左でもある。パソナは、高齢者を企業に派遣するだけでなく、自社の業務でも戦力として活用し始めた。

特定の分野でノウハウのある高齢者を専門家として採用することは今までにもあったが、今や、高齢者の業務の領域は、営業や財務など、どの企業でも抱える仕事にも広がっている。営業や総務部門では、AIやRPAなどの導入によって単純な事務作業の自動化が進み、銀行などでは人員削減も行われているものの、戦略的な判断は、なお、人間の経験とノウハウが必要だ。未経験の若年層よりも高齢の経験者の方が役に立つことも多い。今後、営業、総務のような社会的に就業人員の多い業務でも高齢者の需要が高まることで、高齢者の活躍の場はさらに拡大するだろう。