スマート農業 技術革新で未来は開けるか
あらゆるものをインターネットでつなぐIoTや人工知能(AI)、ロボットを駆使した「スマート農業」への期待が高まっている。幅広い産業でデジタル革命が進む中、農業は遅れていた。ここに来て、新たな技術を搭載した農機や設備が登場し始めた。1人で5台操作できる自動運転トラクターや、水田の水位をスマートフォンで制御できるシステムなどがある。ドローンで作物の生育状況を確認し、効率的に肥料を与えることもできるという。
(中略)
スマート化が進めば、力仕事の負担が減り、女性や高齢者が就農しやすくなる。
(読売新聞 3月6日)
農業の高齢化は急速に進行している。体を使う作業が多いだけに、高齢者には厳しい仕事だ。ただ、日本の農業が労働集約型の産業なのは、近代化と大規模化が遅れているからでもある。米国やオーストラリアの農業の労働生産性は高い。大規模であれば、機械化の恩恵に、より預かることができるからだ。
そのような中、IoTやAI、ロボットなどの先端ICTは、小規模な農業にも生産性向上の効果をもたらす技術として期待されている。小回りのきく小型の農機でも、これらの技術を搭載すれば、人間の行うのと同様に、自動的に農作業を行うことができる。さらに、専門家や経験豊かな農家のノウハウをAIに学習させれば、普通の農家よりも優れた農業を実現することも不可能ではない。
米国では、刈り入れ専門業者が、大型コンバインを携えて全米を旅しながら、各地で小麦などの収穫を請け負う事業を展開している。日本では、農業ロボットが、各農家を巡回し、農家の指示に従って必要な作業を自動的にこなして回ることになるだろう。高齢者が自宅に居ながらにして農業を行う日もそう遠くはない。