コールセンター営業の主力に シニア活用で職場が活気づく
ひたひたと進む高齢者の雇用延長だが、現実は厳しい。深夜や早朝の警備員や清掃などのきつい職場が多いという。培ってきたシニアのキャリアが必ずしも生かされていない。そんな中、注目なのが、保険の比較や見直しなどを手掛ける「ファイナンシャル・エージェンシー」だ。「アルバイトスタッフは4割が60歳以上です。シニアの方々が担うのは、主にコールセンターの営業で、商談機会獲得数は職場平均の1.4倍。コールセンター営業の主力になっているのです」(広報担当者)
シニアスタッフの中には、78歳の人もいて、週5日ペースで出勤しているというから驚く。「採用条件に年齢制限がありません」(同)と聞けば納得だろう。現場の若手社員にとっては、そんなシニアスタッフが顧客の世代と重なるため、顧客の悩みやニーズをあらかじめシニアスタッフにリサーチして営業活動に生かすことができるメリットがある。シニアスタッフは、すでに保険を利用する実体験があり、コールセンターではその経験が大いに役立つ。シニアの活用で、職場が活気づいているという。
(日刊ゲンダイ 1月31日)
保険の営業は、訪問販売は年配の女性、電話によるコールセンター営業は若い女性といのうが定番だったが、最近は、シニアによるコールセンター営業が増えている。いかにもマニュアル通りに流暢に話していると感じる若い女性の営業トークよりも、シニアスタッフの素朴な話し方のほうが、高齢者の心の中に親近感を呼び起こすのかもしれない。高齢者の顧客とマニュアルの想定を超えた深い会話を交わし、隠れた悩みやニーズを引き出すには、若いスタッフよりも顧客と年齢の近いシニアスタッフの方が長けている。
こうした、シニアならではの能力を活かした雇用が拡がることは、シニアの仕事のやりがいを高めるだけでなく、社会全体の付加価値を向上させるのにも役立つ。単に、若い人材の不足を補完するためにシニアを雇用するのではなく、シニアのアドバンテージを活かす仕事の仕方を工夫することが重要だ。