2040年就業者1285万人減ゼロ成長、高齢者・女性伸びないと
厚生労働省は15日、雇用政策研究会(座長・樋口美雄(よしお)労働政策研究・研修機構理事長)を開き、経済成長がない「ゼロ成長」で高齢者や女性の就労が進まない場合、2040年の就業者数は17年に比べて1285万人減るとの推計を示した。研究会は雇用促進策や人工知能(AI)などの技術を活用できる環境の整備を求めている。高齢者数がほぼピークを迎える40年時点の推計を出すのは初めて。
4月からの新たな外国人材の受け入れ拡大による効果については「制度が始まっていない」として考慮していない。一方で、日本語教育の充実や生活者としての外国人支援の推進が必要と指摘した。
(中日新聞 1月15日)
経済成長と就業者数は相互に影響し合う。成長率が高くなれば、就業者数は増え、就業者数が増えれば成長率は高くなる。したがって、就業者一人当たりの生産性が上昇していくとすれば、「ゼロ成長」の場合には就業者数が減少することになる。
ただ、就業者数減少の要因は、低成長だけでなく、人口減少もある。長期的には、労働生産人口の減少の方が就業者数の減少に与える影響が大きい。人口減少が就業者数の減少をもたらし、それが成長を抑制するという構図だ。
この構図の中で、成長率を上げるには、外国人を受け入れて労働生産人口を増やすか、高齢者や女性の労働参加を促して、人口に占める就業者の割合を大きくするか、労働生産性を上げて就業者一人当たりの付加価値を大きくするしかない。この中で、最も難しいのは生産性の向上であり、最も安易なのは低賃金の外国人労働者の受け入れだ。経済成長を外国人労働者の増加に頼るということは、成長を続けるためには外国人労働者の数を増やし続けなければならないことを意味している。しかし、これは社会的に持続可能な施策ではない。足元では高齢者や女性の就業率を上げ、長期的には生産性と出生率の向上を図ることが、持続的な成長を実現する道だ。