「70歳以上まで働く」3割に 老後に不安77% 日経調査
日本経済新聞社が初めて実施した郵送世論調査で、70歳を過ぎても働く意欲を持っている人が3割を占めた。働いている人に限定すると37%に上る。2017年の70歳以上就業率(15%)を上回り、高齢者就労を促進する政府の取り組みにあわせて労働参加が進みそうだ。一方で8割近くが老後に不安を感じている。社会保障の負担増や給付減に備え、長く働いて収入を確保しようとする様子がうかがえる。
何歳まで働くつもりかを聞くと平均66.6歳だった。高年齢者雇用安定法では希望者全員を65歳まで雇うよう義務づけているが、これを上回った。60歳代に限ると平均は69.2歳に上がり、70歳以上まで働く意欲のある人が45%を占めた。
(日本経済新聞 1月21日)
深刻な人手不足の中、70歳以上まで働く意欲のある人が増えていることは、歓迎すべきことだ。ただ、長く働きたい理由が経済的な不安だとすると手放しでは喜べない。この世論調査では、収入が低いほど70歳以上まで働く意欲がある人が多い。この中には、自分に不向きな仕事でも、経済的な理由で続けている人もいるだろう。
社会的には、こうした生活のために働かざるを得ない高齢者も満足感と達成感を持って仕事に取り組むことのできる雇用環境を整備することが重要だ。そのためには、高齢者が、精神的な相互扶助を促進するコミュニティーや、肉体的な衰えを補完する技術革新などが欠かせない。こうした環境があれば、70歳以上まで働く理由は、「経済面の不安のため」だけでなく、「働く喜びを得るため」と回答する人が増えるだろう。