中小7割で65歳超雇用 日商調査
日本商工会議所が9日発表した高齢者雇用の拡大に関する調査結果によると、中小企業の73.7%が65歳を超える人材を雇用していた。人手不足を背景に前回2016年の調査と比べて3.6ポイント上昇した。一方、65歳超を雇用するのは難しいと答えた企業は20.8%だった。体力の衰えや、若手人材の採用を阻害するといった懸念が出た。
調査は18年10月下旬から12月上旬に実施し、中小企業2045社の回答を得た。回答率は71.0%。
(日本経済新聞 1月10日)
よく知られていることだが、大企業よりも中小企業の方が65歳を超える高齢者を雇用している割合が高い。さらに、その割合は年々上昇している。73.7%といえば、4分の3に近い割合であり、中小企業では、65歳を過ぎても働くこと方が普通と思われる時代になった。
一方、同じ調査で、継続雇用年齢の65歳超への引き上げについては、約半数の中小企業が反対している。つまり、既に65歳超の高齢者を雇用していても、継続雇用年齢が引き上げられて雇用が義務化されることには反対する企業が、相当数存在するということだ。高齢になればなるほど、本人が希望しても、企業としては雇用できない、あるいは、雇用したくない場合も増えてくる。企業の規模が小さければ、高齢者の体力や健康状態などに合わせた業務の割当が難しいこともある。継続雇用年齢の一律引き上げと義務化に懸念を持つ中小企業が一定数存在するのは自然なことだ。65歳超の雇用拡大には、高齢者の生産性を高める技術革新と共に、企業の枠を越えた雇用の流動化が鍵となる。