パナ子会社、腰の負担軽減する「着るロボット」海外展開へ
パナソニックの子会社で、ロボットベンチャーのATOUN(アトウン、奈良市)は20日、体に装着して筋力をサポートするパワードウエアを来年1月から海外で販売すると発表した。今年7月に日本で発売し、これまでに約160台(19日現在)が売れた製品で、重労働が多い工場や倉庫などで使われている。米ラスベガスで1月に開かれる家電見本市「CES 2019」にも出展し、世界に向けてアピールする。
(中略)
労働者の人手不足や高齢化を背景に、重労働の負担を軽くする着脱式補助機器は、じわりと浸透しつつある。作業者の腰に取り付けて動きを補助するロボットスーツ「HAL」を手がけるベンチャー、サイバーダイン(茨城県つくば市)は26年以降、オムロンや大和ハウス工業といった大手メーカーとの提携を強化した。手数料を支払い、大手の販路を生かした販売促進などを進めた結果、HALの販売、貸し出しを含めた稼働台数は26年末に数十台程度だったが、今年9月末時点で1368台まで拡大した。
(産経新聞 12月20日)
人体に着装して筋力を補助するパワードウエアは、サイバーダインなどのベンチャー企業が先行して市場を開拓していたが、パナソニックのような既存の大企業も参入することで、市場が拡大し始めた。
技術革新と販売量の増加に伴い、価格は低下傾向にある。パナソニックのパワードウエアは60~80万円だ。5年で減価償却した場合、1年当たりのコストは12~16万円となる。作業員の人件費が年300万円だとすると、これは人件費の4~5.3%に相当する。パワードウエアを装着することで作業の生産性が数%向上するなら、パワードウエアを導入した方が得だ。加えて、体への負担を軽減することで、高齢者や女性など筋力が比較的弱い人材も採用できることになり、人材確保をより容易にする効果も期待できる。パワードウエア市場が本格的に離陸する時期は、もう間近に迫っている。