レンゴー、定年65歳に 給与は維持
段ボール大手のレンゴーは2019年4月から、定年を現在の60歳から65歳に延長する。給与や賞与など処遇は59歳以前の水準を維持する。同社は05年に65歳までの再雇用制度を導入したが、賃金は定年前の約6割になっていた。
定年延長によって1年間の人件費が数億円増える。ただレンゴーは、処遇の改善で経験豊富なシニア層の士気を高めれば、人手の確保や生産性の向上、若手への技術の継承につながっていくとみている。
(日本経済新聞 8月27日)
ネット通販の市場拡大に伴って、段ボールの需要は世界的に増大しており、原料だけでなく、人材の不足も深刻になっている。増加しているとはいえ、定年延長に踏み切る企業がまだ少ない中、レンゴーが再雇用制度から定年延長に切り替え、60歳以降も待遇を維持する人事制度を導入したことは、段ボール業界の活況と無関係ではない。
今後も、需要が増加し、人手不足が深刻な業界を中心に、定年延長が拡大していくだろう。数年の内に、定年延長は普通になり、もはやニュースにならなくなるのかもしれない。むしろ、企業間に差が出るのは、60歳以上の従業員の処遇の方だ。今回、レンゴーは、給与水準を維持し、一律的な役職定年も設けないことにした。すべての企業にとってそれが最適解かどうかは一概には言えないが、ひとつの参考事例を提供してくれたことは確かだ。