トヨタ、再雇用者の給与改善へ 「実質65歳定年」目指す
トヨタ自動車が、60歳の定年後に再雇用されて工場の生産ラインで働く技能系の従業員に対し、給与水準を改善した雇用形態の新設を検討していることが13日、分かった。再雇用制度の充実を進めて、全員が60歳以降も働く「実質65歳定年」を目指す。人手不足が深刻になる中、熟練の人材を確保して若手へ技能伝承も図る。
ホンダやサントリーホールディングスなどは定年を65歳に引き上げており、政府も国家公務員の定年延長を検討している。官民でベテランを活用する取り組みが加速しそうだ。
トヨタが設けるのは「SP(スキルド・パートナー)―A」(仮称)という雇用形態だ。
(共同通信 8月13日)
従来、トヨタは、生産ラインで働く60歳以上の技能系従業員の雇用形態として、SPと上級SPの2つの形態を用意してきた。給与水準は、SPが定年前の約半分、上級SPが定年前の約8割だ。今回新設されるSP-Aの給与水準は、この中間に位置する。SPが業務を限定していないのに対して、SP-Aは定年前と同様に生産ラインに従事することが前提だ。生産ラインにとって必要な人材の処遇を改善して、定年後も職場に残ることを促す意図が見て取れる。
すでに定年を65歳に引き上げているホンダとはまだ差はあるが、この施策によって、トヨタの60歳以上の技能職の離職率は大きく低下するだろう。日本の製造業に大きな影響力を持つトヨタだけに、他の製造業への波及が期待される。