シニア就労 定年転職や技能習得に給付金を活用
長寿化が進み、定年退職後もなんらかの仕事に就いて収入を得る人が増えている。60代前半ではおよそ3人に2人が就労しており、長い老後に備えて家計改善に取り組んでいる。シニアが働く際は、雇用保険制度などから一定額の給付金を受け取れるケースがあり、上手に活用すれば家計の助けになる。
(日本経済新聞 8月4日)
雇用保険制度の給付金のひとつである「高年齢雇用継続給付金」は、収入が60歳時点の75%未満に下がると、支給される給付金だ。給与がそんなに下がるなら辞めようと思っている高齢者に退職を思いとどまらせるのには役立っている。企業にとっても、75%未満に給与を下げても人材を確保できるのは利点だ。
ただ、人材不足が深刻な業界では、60歳を過ぎても給与をそれほど下げず、人材確保を優先する企業も増えてきた。これからは、年齢によって一律に給与を削減するという企業は、しだいに減っていくだろう。そういう意味では、「高年齢雇用継続給付金」は、給与は年齢ではなく能力と成果によって決まるという時代が到来するまでの過渡的な制度なのかもしれない。
むしろ、今後活用が期待される制度は、一般教育訓練給付制度や専門実践教育訓練給付制度といった教育訓練に関する給付金だ。高齢者が活躍の場を拡げるには、若年層だけでなく、高齢者層もこうした教育訓練に積極的に参加することが重要になる。これらの給付金は、高齢者の能力開発への挑戦を後押ししてくれるだろう。