ネット通販、高齢者にも広がり 経済財政白書
政府が3日公表した2018年度の年次経済財政報告(経済財政白書)は、IT化の進展、人工知能(AI)に定型的な仕事が代替される可能性など、日本社会を取り巻く新たな潮流を分析している。急速に普及するインターネット通販については、60歳以上の高齢世帯にも広がり、利用者は「他の世帯と同程度かそれ以上の金額を支出している」と指摘した。
15~17年にネットを利用した世帯(2人以上)の消費額を世帯主の年齢層別に調べたところ、1カ月当たりの平均額は、30代までが2.6万円、40代が2.8万円、50代は3.3万円と年齢が上がるにつれ増加。60代と70代以上もそれぞれ3.2万、3.1万円で50代とほぼ同水準だった。
一方、17年にネットで買い物をした世帯の割合は全体で33%。64歳未満の47%に対し、64歳以上では19%にとどまる。高齢層の利用者は支出金額が多い半面、まだ少数派なため、全体としてネット消費拡大の余地があるという。
(時事通信 8月3日)
高齢世帯は、ネット通販を使う割合は少ないが、使っている世帯の支出金額は多い。高齢者にとって、ネットでの買い物は敷居が高いが、一旦、敷居を超えてしまうと、その便利さから利用は増えるのだろう。アマゾンや楽天のようなプラットフォームでの買い物だけでなく、ネットスーパーの利用も増えてきた。スーパーから遠い住宅に住む高齢者にとって、重たい生鮮食料品や日用品を自宅から注文して配送してもらえるのは便利だ。
ネット通販の高齢世帯への普及は、高齢者のITリテラシーの向上にも役立っている。ITを使いこなす高齢者が増えれば、高齢者の就労の機会も増える。たとえば、葉っぱビジネスで有名な徳島県上勝町の高齢者は、電子商取引分野(EC)サイトで全国から注文を受けて、必要な葉っぱを即、山から集めて出荷するというビジネスモデルで事業を拡大してきた。ECを利用する高齢者が増えることは、こうしたECを活用してビジネスを行う高齢者を増やすことにもつながるに違いない。