高齢者雇用、12万社に助言 厚労省

厚生労働省は65歳を超えても働くことができる企業を増やすため、全国の約12万社を対象に、定年制の撤廃や再雇用年齢の引き上げといった対応を呼びかける。企業の雇用ルールに詳しい社会保険労務士ら約350人を組織化し、各企業を訪問して高齢者が活躍できる人事・賃金制度の作り方などを指南する。「生涯現役社会」に向けて法律の枠を超えた対応を企業に直接働きかける。
(中略)
厚労省が所管する独立行政法人、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が、社労士や中小企業診断士ら約350人を「65歳超雇用推進プランナー」として認定。プランナーは2022年度までに訪問する。一部業務は外部団体に委託し対象企業を網羅する。
(日本経済新聞 6月26日)

高齢者の能力を引き出す人事制度や業務の割当に関するノウハウを産業界に普及させることは、高齢者の雇用を拡大する上で重要だ。高齢・障害・求職者雇用支援機構は、全国で高齢者雇用支援を行っている独立行政法人で、65歳超雇用に関するマニュアルや事例集を作成、配布している。これらのノウハウを直接企業に説明し提供することには一定の意義がある。

ただ、全国12万社に350人体制で訪問するのはコストもかかる。訪問業務を受託する社会保険労務士や中小企業診断士あるいは外部団体にとっては特需だが、税金を投入する事業である以上、投資対効果も重要だ。

投資に見合った効果を得るには、訪問すること自体を目的とするのではなく、訪問した結果65歳超の雇用が実際に拡大することを目的とするべきだ。さらに、訪問による指導の中で何が雇用拡大に寄与したかを分析し、それを新たなノウハウとして共有するというサイクルが全国規模で回っていくならば、より大きな効果をもたらすことができるだろう。本事業が、投入した税金以上の成果を上げることを期待したい。