65歳定年 3社に1社 収入維持、シニア士気向上
60歳定年が日本企業の8割を占めるなか、給与水準を維持してシニアの士気を高める定年延長を選ぶ動きが広がってきた。日本経済新聞社が29日まとめた「社長100人アンケート」では2割の企業が定年を60歳から65歳に延長する意向を示した。導入済みを含めて、65歳定年が3社に1社に達する。ただ世代交代の停滞などを懸念する意見も多い。シニア活用と若手の育成を両立した人事戦略が一層求められる。
アンケートは国内主要企業の社長(会長など含む)を対象に3カ月に1回実施。今回は2月28日~3月19日に実施し、146社から回答を得た。
(日本経済新聞 3月30日)
今年の春季労使交渉でもシニアの待遇改善が進む傾向が顕著になってきているが、加えて、定年そのものも60歳から65歳へ延長する企業が増えてきた。そもそも、60歳を定年とし、それ以降は再雇用で雇用を継続する企業が多かったのは、シニアの給与水準を低く抑えるのが理由のひとつだった。人手不足を背景として、シニアの給与を引き上げる動きが活発になれば、定年延長を選択する企業が増えるのは自然なことだ。
一方、この社長100人アンケートでは、定年延長の課題として、「シニアの職務・ポスト不足」や「世代交代が停滞」が挙げられている。これらに対処するには、ライン管理職だけでなく専門職のポストを拡大したり、年功だけでなく能力や成果も重視した給与体系を導入したりするなど、シニアだけにとどまらないすべての世代にわたる人事制度全体の見直しが重要だ。