同窓会人脈活用、シニア層を職場へ 横国大など1万人
横浜国立大学(横浜市)発のNPO法人ユーベック(同)はシニア層を職場に還流させる新しいサービスを4月から始める。大学の同窓会や社友会のネットワークを活用するもので、まず横浜国大の同窓会を中心に1万人規模から始め、順次他大学や企業の人事部にも拡大する。会計や法務、事業計画の策定など実務を強みに「人生100年時代」を後押しする。
ユーベックは地域の課題解決に向け、産学官連携の支援を手掛けるNPO。横浜国大では大半の同窓会組織の協力を取り付けた。横浜市立大学(同)とも連携し、旧横浜商業専門学校(同)、横浜市立横浜商業高校(同)の卒業生もカバー。今後県内の各大学や企業の社友会などに協力関係を広げる。
(日本経済新聞関東版 3月23日)
少子化が進む中、大学は独自の個性を磨くことが求められている。地域の問題解決や課題達成への貢献もそのひとつだ。横国大は全国に知られた国立大学ではあるが、横浜の名を冠した地方大学でもある。「グローバルな学術の共創」をそのスローガンとする一方で、神奈川県を始めとした首都圏が抱える問題の解決への貢献も重視している。そうした活動に役立つ人材を、新卒のみならず、シニア層も含めて幅広く供給することができれば、貢献の範囲も付加価値も拡大するだろう。
ただ、卒業生のすべてが同窓会活動に熱心なわけでもない。同窓会の人脈を活用するというアイデアはスタートとしては良いが、人材供給をさらに拡大していくためには、日頃、同窓会にあまり関心のない層も取り込まなければならない。そのためには、地域の産業界が抱える課題を大学だけでなくシニア層の卒業生とも共有し、それらの課題に関心のある卒業生を広く集める仕組みを構築する必要がある。