75歳以上、高齢者の半数超に
総務省が20日公表した3月1日時点の人口推計(概算値)によると、75歳以上の後期高齢者は1770万人で、65~74歳の1764万人を上回り、高齢者全体の半数を超えた。人口推計で75歳以上が65~74歳を上回るのは初めて。社会保障費の膨張が国と地方の財政を圧迫する中で、安定的な医療、介護制度の構築が課題となる。1人暮らしの生活支援といった対策も急務だ。
3月1日時点の総人口(1億2652万人)に占める75歳以上の割合は14・0%。推計によると、75歳以上のうち男性は693万人、女性は1077万人。85歳以上は男性173万人、女性387万人の計559万人だった。年代別の総人口に占める割合は、15歳未満が12・3%、15~64歳が59・8%、65歳以上は27・9%だった。
(産経ニュース 3月20日)
大人の定義もあいまいだが、高齢者という言葉の定義はもっとあいまいだ。成人であるかどうかは、法律で定義されているとはいえ、大人かどうかは、社会で生活する大人としての判断能力が備わっているかなど、主に能力の発達度合いで意識されることが多い。
それに対して、高齢者という言葉には、法的な定義とは別に、社会全体の中で比較的高齢な人々というニュアンスがある。そもそも歴史的に観れば、高齢かどうかを判断する年齢は時代によって変遷し、それぞれの時代の社会の中で相対的に決められてきた。たとえば、50代まで生きる人が10%程度であった平安時代には、40歳で「四十の賀」、あるいはシという音を嫌って「五八の賀」、という長寿の祝いを行い、その後は老人と見なされていた。
そうだとすれば、総人口の14%が75歳以上になった今の日本では、75歳以上を高齢者として定義しても、あながちおかしなことではない。それに伴って年金受給年齢を上げるべきか否かという問題は別にしても、65~74歳の人々も、付加価値を創造し、社会を支える側に立たなければ、社会全体を維持することが難しくなってきたことだけは確かだ。65歳になっても高齢者と思っていられない時代が到来したようだ。