シルバー人材、人手不足が深刻 雇用延長が影響か
高齢者に働く場を提供する姫路市シルバー人材センター(兵庫県姫路市中地)で、人手不足が深刻化している。同市では65歳以上の高齢者が年々増加しているが、同センターの会員数は昨年度、ピーク時から千人近くも減少。発注者からの業務依頼を断らざるを得ないケースも出てきている。企業の定年延長や再雇用制度の拡充などが要因とみられるが、同センターは「潜在的な労働力は多いはず。会員獲得に向け、高齢者に社会参加を促していきたい」としている。
(中略)
危機感を抱いた同センターは近年、会員募集のチラシを配布したり、ポスターを掲示したりするなど情報発信の強化に乗り出した。
(神戸新聞 3月4日)
全国の市町村に設置され、高齢者の社会参加に貢献してきたシルバー人材センターだが、人材難はここにも押し寄せてきている。姫路市に限らず、都市部では高齢者の確保も難しくなってきた。
この状況に対して、姫路市シルバー人材センターは、情報発信を強化して人材確保を図っている。確かに、シルバー人材センターのサービスを広く知らしめることは重要だ。同センターの活動を知ることは、働いていない高齢者を働く気にさせるきっかけとなる。
ただ、シルバー人材センターに人が集まらなくなった理由のひとつは、そこで斡旋される仕事の報酬が低いことにもある。企業の定年延長や再雇用制度の拡充に影響を受けていることは事実だが、それは企業に留まっていた方がシルバー人材センターで見つけた新たな職に就くよりも給与が高いからだ。
したがって、シルバー人材センターが高齢者の人材を確保するには、情報発信の強化だけでなく、そこで働く高齢者に対する待遇改善も重要だ。そのためには、チラシやポスターのための予算を割いてでも給与の引き上げを行った方がよいのかもしれない。給与が高いという情報の訴求力の方が、チラシやポスターよりも効果が高いこともある。