給与「60歳の崖」緩く 定年延長、人手確保へ8割維持
明治安田生命保険は2019年4月からの定年延長に伴い、60歳以上の給与水準を60歳前の7~8割程度に維持する。ホンダも60歳以上の給与を59歳時点の半分から約8割に引き上げた。25年までに厚生年金の支給開始が男性で65歳に引き上げられ、定年や再雇用で収入が減る「60歳の崖」が課題となっている。人手不足が続くなか、経験豊かなシニアの士気低下を防ぎながら、雇用を維持する動きが広がってきた。
(日本経済新聞 2月14日)
従来、60歳以上になっても雇用は継続されるものの、給与は半減するという企業が多かった。そのため、給与が減少する年齢に達した時点で退職し、外資系や新興の企業に転職する管理職も少なくない。
労働市場での評価が高い社員や社内のノウハウを蓄積した社員が退職し、転職できない社員だけが会社に残るとすれば、企業にとっては、たとえ給与を半減させたとしても益のある話ではない。
人手不足で若手の採用が厳しくなる中、すでに社内に確保している有能な人材を維持するためには、シニア社員の待遇改善を進めていくことは自然の流れだ。そして、この先には、他社のシニア人材を高給を条件に奪い合う時代が待っている。