高齢化日本に学ぶべき教訓
日本の実質GDPは00年から15%弱しか増えておらず(つまり年1%未満)、主要国で最も経済が停滞しているように見える。だが日本の人口動態に目を向けると、生産年齢人口(15~64歳)は、00年以降年1%近いペースで減っている。
この結果、日本の生産年齢人口1人当たりの成長は年約1.5%と、アメリカやヨーロッパを大きく上回る。米経済は00年以降35%以上拡大してきたが、生産年齢人口も大幅に増えたため、その1人当たり成長率は年1%程度にとどまる。
(中略)
つまり日本は、生産年齢人口が急速に縮小しているにもかかわらず、著しい成長を遂げていると言える。そのカギの1つは、生産年齢人口のフル活用だ。日本の失業率は約3%と記録的低水準にあり、働ける人の80%近くが仕事をしている。ヨーロッパとアメリカでは70%程度だ。
日本が過去20年間、永遠にも思えるデフレを経験してきたことを考えると、この完全雇用はますます大変な偉業に見える。
(ニューズウィーク 11月30日)
この記事は、米国の雑誌ニューズウィークの欧州の記者が書いたものだ。確かに、生産年齢人口1人当たりの成長率で見れば、日本経済のパフォーマンスはそれほど悪くない。生産年齢人口の活用については、日本から欧州が学ぶべき点もある。
特に、60歳以上の生産年齢人口の活用では、ここ10年の間に、日本は一定の前進を遂げた。さらに、生産年齢人口の外に位置づけられている65歳以上のシニア層の社会参画も拡大している。このニューズウィークの記事の後半には、「いくら長寿国の日本でも、70歳を超える人が生産を大きく押し上げるとは思えない。」という記述があるが、この認識を改めることが日本から学ぶべき点のひとつだ。
ただ、女性の社会進出など別の指標で計測すれば、日本の評価は必ずしも高くない。逆に、欧米から日本が学ぶべき点が多いことにも留意しなければならない。