シニアが選ぶ派遣の道

長寿や経済的な理由で、働くシニアが増えている。正社員ではなく派遣社員の道を選ぶ65歳以上の人も4年で倍増しており、シニア専門の派遣会社が人気を集めるほどになっている。

総務省の労働力調査によると、2016年に65歳以上で雇用されて働く人(役員除く)は400万人。うち75%が非正規雇用で、その約7割はパート・アルバイト。派遣社員の人数は少ないものの、12~16年で2倍以上に増加し、13万人に上る。16年の全年齢の派遣社員の中でも約1割を占めている。

全国でも数少ないシニアに特化した派遣会社「高齢社」(東京都千代田区)には60歳以上の848人が登録しており、平均年齢は69・8歳。週3日働いて月8万~10万円の収入を得る人が多い。
(毎日新聞 8月28日)

高齢者のパートやアルバイトは一般的だが、派遣社員も増えてきた。派遣社員は、パートやアルバイトよりも長期に渡って同じ職場に勤務する傾向があり、賃金もやや高い。働く側にとっては、長期間の安定した就労が期待できる。一方、雇用者側にとっては、派遣会社を通じた人集めが容易になり安定した労働力の確保につながるというメリットもある。求職、求人の双方にとって利点のある派遣社員という就労形態は、今後ますます拡大していくだろう。

高齢者の派遣市場の拡大に伴い、派遣会社が果たす役割は、より大きくなる。業務ノウハウの共有や交代要員の確保などが派遣会社内で組織的に進んでいけば、派遣社員が企業に提供する付加価値は高まり、結果、企業の高齢者の雇用への意欲を向上させるのに寄与するだろう。