高齢者を介護職に 十勝2施設で「助手」養成
帯広市内の介護老人保健施設「アメニティ帯広」(西16北1、武田政俊施設長)と鹿追町の「もみじの里」(鹿追北2線8、松本恭一施設長)が、介護職の補助的な業務を行う「介護助手」を養成するモデル事業に取り組む。元気な高齢者らを対象とし、両施設は「人材不足が深刻化している介護現場で活躍してもらい、自身の健康維持や介護予防にもつなげてほしい」としている。
介護助手に資格は必要なく、施設内の部屋掃除や食事の片付け、高齢者との話し相手や趣味活動の手伝いなど、比較的単純な作業に携わる。
モデル事業は道老人保健施設協議会による「介護助手制度事業」の一環。初年度となる今回は十勝、函館、北見の3圏域で2施設ずつが選ばれた。介護助手が増えれば、介護福祉士など資格を持つ職員が、より専門的な介護業務に専念できる利点がある。
(十勝毎日新聞 7月24日)
介護には、食事や入浴などの物理的な支援が必要なものと、相談やレクレーションなどのメンタルケアが求められるものがある。北海道で始まった介護助手制度は、その両面から支援して、介護福祉士と介護の対象者の双方を助ける制度だが、特に、メンタルケアでの貢献が期待できる。
人手不足に悩む介護施設では、物理的な支援に忙殺され、心のケアにまで人手を割くことが難しいことも多い。年齢の近い高齢者の介護助手が、あまり時間を気にせず、話し相手になることができれば、介護対象者の心理的な支えになるだろう。そして、これが、活動的な生活への復帰を促す契機となり、さらなる介護業務の軽減へとつながる可能性もある。高齢者同士が心で支え合う、介護施設はそんな場所であるべきだ。